Kindle unlimited

 Amazonは2016年に8月に月額980円でAmazon Kindle内で販売される電子書籍(登録された約12万冊)が読み放題になるサービス「Kindle Unlimited」をリリースしました。Amazonに出版アカウントを立ち上げ紙本の印税では想像もつかないほどの高利率で印税を獲得することは難しくなりました。もちろん、Amazon Unlimitedを通じて講読された書籍は、その読了ページ数に応じてAmazonから特別な報酬を得ることは可能ですが、この報酬を期待する出版は、売上の促進以上に難しいと考えておいた方が良いでしょう…という考えを、私は先月(2016年8月)に発表しました。

 そして、このサービスが登場したことにより、私は「すべてが合致した」と歓喜の声を上げました。

読書離れが国際的にも進む中、国内の出版事情も「読まれる本」より「売れる本」を優先するようになってきていますし、ベストセラー本こそ『価値ある本』という風潮が蔓延しているように思います。もちろん、すべてのそう言った書籍を否定するつもりはありませんが、これまでにもベストセラーに埋もれた良著は無数に存在しています。そして、これらの「埋もれた良著」ほど、人生観やビジネス感に大きな影響を及ぼす書籍が少なくないことに驚きを隠せません。

出版界、「書籍業界」というフィールドでは「埋もれている」というレッテルを貼られたとしても、『このように読者に対して人生観に影響を与えたり、ビジネスに影響を与えている出版物というのは、その出版物に書かれた業界やそのテーマに沿った読者層にとっては「より価値の高い良著」として評価を受け続け、その著者もその業界やその顧客層の中では、より高い評価を受け続けている』と、感じるわけです。

 さて、そんな中、Amazonの月額980円電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」がはじまって1ヶ月ほどが過ぎたわけですが、これまでに私が出版した拙著にどのような変化が起こり、書籍を通じたビジネスへの影響は、どのように変化したのかをお伝えします。

Kindle Unlimitedが始まっても、獲得報酬に変化はなかった

 このKindle Unlimitedが始まって1ヶ月ほどAmazonから振り込まれる報酬を傍観していたのですが、結論から先にご報告すると「たいした変化はない」というのが実情です。しかし、報酬の種類は大きく変化しました。

Amazonの電子書籍サービス「Kindle」から得られる報酬には、有料ダウンロード数に応じた売上に比例する俗にいう「印税報酬」と既読ページ数に応じた報酬の2種類があります。この「既読ページ数に応じた報酬」は、Kindle Unlimitedがスタートする以前から存在しており、Amazonプライム会員の特典でもある「毎月1冊無料購読」によっても、その報酬を獲得することができます。この他、Amazonが特別に設け実施する「無料キャンペーン」の対象書籍となり、そのAmazonが自ら行う無料キャンペーンやセールによって読まれた電子書籍に対して、既読ページ数に応じた報酬が発生していました。

 この既読ページ数に応じた特別報酬の算出方法は、多少複雑なので割愛しますが、2016年8月から始まったKindle Unlimitedの影響を受け、これまでは有料ダウンロードによる「印税報酬」が9割以上を占めていたのに対し、この1ヶ月間では、2割弱にまでその割合を減らし、逆にこの「既読ページ数に応じた報酬」が8割強にまでその割合を伸ばしてきました。

このような現象が起こった背景には、毎月数1,000部、数万部を売っていたわけでもないという実情と販売単価とページ数(文字数)の均衡がとれていたと言う条件が合わせってのことだと考察することができます。

Kindle Unlimitedのスタートによって得られるメリット

 私が経験したこのKindle Unlimitedが及ぼす著者への報酬増減に関しては、今後、販売価格とページ数の整合性見極めに大きく貢献すると考えています。しかし、その分析のためにはAmazonから提供される売上データと既読ページに関するデータが少ないため、昨日追加データの開示をAmazonに打診しました。

ちょうど8月は私たちの会社の期変わりということもあり、先日から無料キャンペーンを行ってはいますが、この自ら行う無料キャンペーンによる既読ページ数は、この「既読ページ数に応じた報酬」には含まれません。

また、すべての電子書籍読者がKindle Unlimitedを通じて電子書籍を読むとも限りませんし、Kindle Unlimited自体も1ヶ月間無料のキャンペーンを行っていますので、今後、この数字がどう変化するのかに関しては追跡してまいりたいと思います。

Kindle Unlimitedが登場して、本の売上自体は落ち込むことが予測されますが、その分、既読ページ数に応じて「読まれるテーマの傾向」を知ることもできますし、このデータが更に充実すれば読了に費やされる平均時間や読了割合によって、その後読者が起こすアクションへの誘導率なども計測できるようになるでしょう(2016年9月現在ここまでのデータ解析はできません)。

現在この既読ページ数データから考察可能なのは、それぞれの書籍のプロモーションを「売上重視」にするのか、それとも「読了からのアクション」に重きを置くのかと言った戦略構築です。

売上重視型に重点を置く場合のKindleへの登録方式の変更や価格設定、そしてKindleの場合売れれば売れただけ、Amazon内での露出が増えていきますので、更なる書籍の売上が望めるようになります。このような場合は、カバーデザインの改善やタイトルの変更、説明文の改善の他、ウェブサイトでの紹介ページ(セールスページ)の改善やテストが重要となってくることでしょう。

これに対して「読了からのアクション」に重きを置く場合は、積極的な無料キャンペーンの実施とKindle Unlimitedでの講読を意識した価格設定が重要になり、そして既読ページ数から得られる報酬は、その書籍のページ数にも依存しますので、ページ数の増減を改善するなどの方法があります。

既にリリースしている電子書籍への過度な改変をAmazonが嫌がる可能性もありますので、新著をリリースする時の参考データとすることも視野に入れながらKindle Unlimitedと上手に付き合っていってください。

尚、私たちは、これらの価格設定や販促、プロモーションの代行やアドバイスも行っておりますので、電子書籍を出版したいとお考えの場合、Kindle Unlimitedが始まって、思うような成果が上げられない場合などは、お気軽にご相談ください。

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